人間的に腐ってきたので山で修行してきた。宝泉寺禅センター体験レポート 後編

宝泉寺禅センターからの夕焼け

いよいよ最終編になりました。最後は思ったことやセンターでの出会いなどについて書いていこうと思います。

前編では宝泉寺禅センターに行くことになったきっかけ、中編では施設紹介、食事の作法などについて触れていますので、もしまだ読まれていない方はこちらの記事からどうぞ。

人間的に腐ってきたので山で修行してきた。宝泉寺禅センター体験レポート 前編

2017.06.27

人間的に腐ってきたので山で修行してきた。宝泉寺禅センター体験レポート 中編

2017.09.19

宝泉寺禅センターの魅力とは

昨今の座禅ブーム?かどうかは分かりませんが、そういう体験ができるところが増えている気がします。
ですが、その多くが1日体験や1泊2日など、手軽ではありますが日常から切り離されるには短く思います。
その点、宝泉寺禅センターは3泊4日からとちょうど良い。(どうしても都合がつかなくて2泊3日なども可能です)

それから、ガチガチの座禅漬けではなく、長くて1回40分くらいの座禅です。(ただ、月に1度の接心の日は座禅漬けですが(笑))
臨済宗というのもありますが、座禅がきつくて有名な永平寺は曹洞宗ですので、そういうのが好きな方は物足りないかもしれません。

また、自由時間もあって京都に観光に行くこともできますし、昼食は正座なんてせずにゆったりと喋りながら摂れるところもポイントです。

そして、最大の魅力は料理が美味しい!。
精進料理に美味しいも不味いもあるのかと思われるかもしれません。

確かに朝食は定番の、お粥と沢庵、それからどうやってお粥を食べるのかというようなおかずが出ますが、昼食に関しては、お肉こそ出ませんが、野菜の天ぷらなど中途半端な旅館なんかで出てくる料理よりも遙かに美味しいと言えます。
夕食は朝食よりちょっと華やかといった感じです。
昼食や夕食は同じおかずは出てこなかったように思います。

宝泉寺禅センターの中庭

あとは、住職の話が面白いということです。ユニークで人間的に面白い方でした。
食事や座禅中は厳しいですが、講話では落語を聞いているような、そんな感じです(笑)
また、講話時にはお坊さんらしく紙の本を使うかと思いきや、iPadというデジタル産物を使いこなしているところがシュールです。

無になるとは? 生きることは楽なことではない

ここで、講話で印象的だった話と座禅とはそもそも何をしているのか、寝ているのかという点について書いてみます。

まず、座禅の座り方ですが、お尻で座るのではなく膝で座ると言っても良いくらいです。
両膝と、腰、それから頭の4点で三角すいを作るようなイメージです。
ですから座っているように見えて、意外としんどいのです。
(座禅の足の組み方もレクチャーがありますので、安心ください)

座禅で、よく無になるなんて言いますが、そもそも座禅の目的はというと、今ここにいる自分に集中することです。
モーターボートで騒がしかった水面が、鏡面のように静まりかえるように、心を落ち着かせます。

無になる=何も考えない、というわけではなく、例えば自分はどうして苦しいのだろう、何に苦しんでいるのだろうということを考えたりします。
普段はいろいろな情報や感情で支配されていますが、一旦それを静めます。

そして、真っ白な状態で自分が苦しんでいる原因を探っていきます。
端的に言えば、自分を客観視する、幽体離脱して自分を外から見てみて、苦しんでいるものやことを事象化、イメージ化して、もやもやした漠然としていたものを、捉えることで、あぁ自分はこれに苦しまされていたのか、と認識することこそが目的です。

接心とは

私が入山した週は接心の日が含まれていまして、何をするのかというと、食事以外はほぼずっと座禅をするわけです。
また、その日は一切喋ることができません。
喋ることができるのがどれほど幸せかというのを感じました。
1日の座禅が全て終わると、ちょっとした甘いものも出てきて、それはそれで楽しかったです。

そして、希望者だけですが1時間ほど、滝ノ間の縁側で座禅をし、さらに室内で座禅をして、0時に終わります。
私は縁側の座禅だけ参加しました。
ただ、春先で本当寒かったです。けれど目の前が池で、静かな山奥で夜空の下、座禅をしている気持ち良さもありました。

時たま、踏切の音が聞こえてきて電車が通過するのですが、亀岡というローカル駅なので20分に1本くらいです。
それで、あと何分くらいかなぁなんて思っていました。全く無になれていませんね(笑)

でもですね、夜の座禅って部屋は薄暗く、行燈のような明かりしかないので、間接照明みたいな感じで良いムードを演出するのです。そう、寝るのに相応しいムードを(笑)
足は痛いし、眠いしで辛かったです。。。

宝泉寺禅センターからの景色

 

それから、講話で印象的だったのは、最近、何か嫌なことや辛いことがあったらすぐに諦めてしまったりする人が多い、あるいは幸せを感じにくくなっていると。
それは、生きることが楽だと考えていたり、何か特別なことがないと幸せじゃないと思ってしまっているからである。

そう思っていると、特別なことがない限り幸せではない、いわば基準のハードルが高いところに勝手に設定されているわけです。
そうではなく、生きるというのは苦しくて当たり前なんだ、と思うことでハードルの基準を下げ、生きやすくなります。

この世は修行する場であり、直面している困難は課題であり、それを解決することで成長できます。

何かに頑張っている人に出会うことの大切さ

私が入山した日は8人も来ていて、普段は3人くらいのようなので、いかに多かったかが分かります。
年齢層は高校生くらいから60くらいの人まで、幅広いです。
男女比は、4:1くらいだと思います。男性のほうが多いです。
ただ、夏休みなどの期間は学生がかなり多いみたいです。

どこから来たかもさまざまで、山口県や四国、関東などと遠いところから来ている人も多かったです。
目的は、学生だと日本の文化や歴史を体験しておきたいとか、そういう人が結構いました。
あとは、人生の課題に挑戦している人とか、ちょっと整理をつけたいとかでした。

入山は水曜以外は毎日受け付けているので、一昨日に入山した人などとも話せます。
私はその中でも同じ日に入山した、私より一回り上の人とは今でもお付き合いさせていただいています。

その方は、大学院まで進んだのちに就職し、やりたいことが見つかり再度、大学に通って卒業し、資格試験を受けていました。
いろいろな生き方があることに考えさせられ、何歳になっても挑戦し続ける姿勢に刺激を受けました。

ですから、自殺したいとか思っている人がいれば、何かに頑張っている人に出会うことが大切です。
どうしても、自分一人でいると自分なんて。。と悲観的になったり負の方向へと考えてしまいます。
ですが、頑張っている人がいれば刺激になり、あの人が頑張っているのだから、私も頑張らないわけにはいかないとなってきます。
別に、アイドルとかでも全然良いと思います。

そういう意味で、いろいろな人が集まり、修行を共にする場、宝泉寺禅センターは行ってみる価値は十分あります。

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